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医療ビッグデータ・コンソーシアム

医療ビッグデータ・コンソーシアム

2017.03.07

2017年2月6日、医療ビッグデータ・コンソーシアムは、日本プレスセンター会見場において「2016年政策提言」の記者発表を行った。当日は、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、産経新聞、共同通信、日本テレビ、日刊工業新聞、じほう、日経BP社等、合わせて23社39名の記者が出席した。
医療ビッグデータ・コンソーシアムからは4研究部会のなかの「ライフサイエンス部会」で座長を務める松田文彦氏(京都大学大学院医学研究科附属ゲノムセンター教授)と医療ビッグデータ・コンソーシアムの代表世話人を務める中村重郎氏(ディジタルプラネット代表)の2名が参加した。中村氏は、JCHO(独立行政法人地域医療機能推進機構)でIT担当の理事としてWeb型電子カルテによる複数病院のカルテ統合に尽力してきたキャリアを持つ。


3つの提言で構成された
「医療ビッグデータ・コンソーシアム政策提言2016」

政策提言2016についての
代表世話人の発言要旨

記者会見は「同コンソ政策提言2016」の内容を読み上げる形で開始された。内容説明後、代表世話人でライフサイエンス部会座長の松田文彦氏(京都大学大学院医学研究科附属ゲノムセンター教授)は、「医療情報は正しく使えば、国民の健康の増進、病気の予防、健康寿命の延伸、そして国の医療費の削減に大きな効果がある。しかし、今はそうしたデータが本当に集められるのかというところから疑問を呈さないといけない。データを集められるような一元化した仕組みを作り、データを分析できるようなシステムや人材を確保した上で、個人情報に配慮してデータを抽出して医療に役立てる。これを絵に描いた餅にしないためにも、誰かがこういうことを言って何らかのアクションを起こさないと同じ問題がずっと持ちこされていく。あるところで総括をするという意味で、こうした提言をさせていただいた」と、医療ビッグデータ・コンソーシアムが「政策提言2016」を取りまとめた背景を説明した。

~医療ビッグデータを「つくる」「つなげる」「ひらく」~
国内製薬企業を中心に18社からなる「医療ビッグデータ・コンソーシアム」が
2回目の政策提言内容を発表!

”医療ビッグデータ”が抱える課題の解決型提言組織として2014年11月に産官学で発足した「医療ビッグデータ・コンソーシアム」<代表世話人:本庶 佑(先端医療振興財団/神戸・理事長)>が、2月6日、昨年に続き、2回目となる政策提言を発表しました。

医療ビッグデータはその活用によって、新たな治療技術の発見や創薬などの医学・医療の技術革新、そして医療の効率化・最適化、医療費の適正化等を実現する可能性があります。しかし、現在はその基盤構築すら出来ていないというのが当コンソーシアムの主張であり、これを改革していくためには、以下の3つの課題解決が必要と考えています。

1.求められる病院医療情報システム(データをつくる)
2.NDBをはじめとする医療ビッグデータの民間活用(データをつなげる)
3.個人情報保護のあり方(データをひらく)

医療ビッグデータ活用には、病院医療情報システムの標準化、NDBなど既存のデータベースの民間活用、さらに改正個人情報保護法が医療分野への規制強化とならない配慮が必要と考え、今後、当コンソ-シアムは、医療ビッグデータがもたらすベネフィットを、国民に訴求し、幅広い連結と分析・評価を模索する予定です。

なお、当コンソ-シアムは、産官学政の有識者による組織で、企業会員は武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬、中外製薬など製薬大手、これに損保ジャパン、明治安田生命、日興アセットマネジメント、日本IBMなどが参加し、全業種による医療ビッグデータへの取り組みを訴えています。

松田文彦氏 京都大学大学院医学研究科附属ゲノムセンター教授

続いて代表世話人の中村重郎氏(ディジタルプラネット代表)からは、次世代医療情報システムに関する説明が行われた。
「日本の病院の電子カルテ普及率を見ると、平成25年のデータで8700の病院のうち、電子カルテを導入しているのは約2100病院、残り約6600病院はいまだに紙カルテ。しかし、電子カルテを導入していてもデータ継続性の面で問題がある。つまり、日本の電子カルテは、同じメーカーの製品でも入れ替えると、以前のデータが使えなくなってしまう。5~6年で電子カルテシステムを入れ替える必要があるので、その度に以前のデータが消えてしまう。例えればパソコンを買い替えると、前のパソコンで作ったExcelデータが読めないような状況になっている。これでは20年、30年というライフサイクルに合わせて医療情報を継続していくことは非常に困難。6600病院が紙カルテを使用しているということは、good newsとbad newsの両方の意味があり、まずbad newsとしては紙である限り情報を集約化できない。これを電子化しなければいけない。good newsとしては、もしここに20年、30年と情報を蓄積できる電子カルテを導入すれば、日本の医療情報は大きく進展していく」と述べ、カルテが電子化されていない病院に次世代病院情報システムを導入していくという方針を示した。
また中村氏は、医療情報のクラウド化について補足し、「ここでいうクラウドとはプライベートクラウドのこと。一般の消費者が使うクラウドではなく、医療関係者のみがアクセスできる環境を作り、通信回線も一般のインターネット回線ではなく通信会社が自社用に使っている閉域網を想定している」と語った。

中村重郎氏 ディジタルプラネット代表

さらに中村氏は、20年、30年とデータを保持していくためにも、災害対策が喫緊の課題と強調した。実際、阪神淡路大震災(1995年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)では、病院内に置かれたサーバが被害を受け、データが失われている。「一般企業は、会社とは別の地域にバックアップサーバを置いている。医療分野でも20年、30年と医療データベースを維持・活用していくためには、院内だけでなく、外部にデータベースセンターを置くことが求められる。外部のデータベースセンターすなわちクラウドは、耐震、耐火、自家発電装置を備えた施設であることが重要であり、できれば複数個所にバックアップを置くことでデータの長期保存が可能になる」と解説した。このほか心配される情報のセキュリティについても「個々の医療機関がセキュリティ対策を行うよりも、複数病院がプライベートクラウドに集約して対策を行うほうが安全」と語り、「これを次世代病院情報システムのグランドデザインとして提案したい」と結んだ。